ゆくぱランチャー

人生・趣味・思い込み

海釣りで魚をすくう物が無いとこうなる

それは真冬の海での出来事だった。

夏はあんなに釣り人がいたのに冬になるとほとんど見かけなくなる。

見かけたとしても、竿を何本も並べてカレイを狙ってる釣り人か、堤防の際やテトラポットの隙間からアイナメを狙ってる釣り人くらいしかいない。

寒いからなのか何時間も粘らずに、釣れないと分かるとすぐに帰って行ってしまう。

師匠たちはたまに穴釣りをするくらいで、冬の間は仕掛け作りに専念している。

私も寒がりなので、置き竿に鈴を付けて車の中で本を読んだりスマホをいじりながらアタリを待っている。

ある天気のいい日、風も無く海は穏やかだった。

昼頃になりお腹が空いてきたのでコンビニで買ったおにぎりを食べたら、だんだん眠くなってきた。

冬でも天気のいい日は、車の中でもなんとなく暖かい。

そしてそのまま眠ってしまった。

1時間ほど眠っただろうか、突然、鈴が鳴り響いた。

車から飛び出して半分もうろうとしながら竿を握る。

リールを巻くと大きなゴミを引っ掛けたのを引っ張って来るような感じがし、これが師匠たちが言っていた座布団を引っ張って来る感覚だとわかった。

いまだかつて無い大物の予感がする。

やっとの思いで近くまで寄せたら、かなりデカいカレイだった。

竿も折れそうなぐらい曲がっている。

その時気づいた。

なんと私はタモというのを持っていなかった。

このまま諦めるのはもったいない。

無我夢中で手にラインを巻き付けた。

これを上げれば大物カレイ第1号になるはずだった。

そ~っとたぐり上げたときにカレイが動いてその反動で、ラインが切れてしまった。

「ああっ!」誰もいない漁港内で大声で叫び

私は何かとんでもない事をした感じがして、

木の葉のようにまって海中に消えていったカレイをいつまでも見続けた。

逃がした魚はデカかった。

何度も頭の中でその言葉が繰り返されていた。

後日、タモを買いに行ったのは言うまでも無い、がどれも高すぎる。

あんな大物に今度いつお目にかかれるか分からない。

師匠たちが持ってるような、長く伸びるのは必要無いと思い、使いやすそうな折りたたみ式を購入した。

三段になっていて伸ばすと長さが2mくらいあり、堤防から使用する分には充分だと思っていたが、後日師匠たちに見せたら、そんなんじゃ届かないと、笑われてしまった。

しばらくしてから使う機会にめぐりあい、使用してみると、片手に竿を持った状態だとギリギリだった。

もっと潮が引いた状態だったら無理だったかもしれない。

現在の私の釣果では充分すぎるアイテムなので、師匠たちが持っているようなタモが買えるまで使用していくつもりだ。

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